2006年2月 月釜

三周年、第三六回目の月釜です。三周年のプレッシャーか、なかなか趣向が決まらなかったのですが、伏見稲荷にお参りして、初午の茶会にすることになりました。今年は2月10日が初午です。平安時代初期からの伝統行事。伏見稲荷に神様が降臨されたことから、各地の稲荷神社で祭典を行うことになったとか。今昔物語、枕草子にも、お参りは、お弁当を持って物見遊山の楽しみとして描かれていいます。稲荷神は、農耕を司る神で、五穀豊穣、福徳、現代では家内安全、商売繁盛も祈願しています。稲荷神のお使いは狐。油揚げを供えたり、初午団子を作る風習も。
三周年のお祝いもかねて、紅白の色使いで。

初午らしく、福の字を入れました。
大徳寺 管長 誡堂和尚の墨蹟です。

花は赤い侘び助椿とサンシュウ。
もうすぐ春です。

赤の釜敷に宝珠の香合を飾り、
神社のイメージに。

初午の馬にちなんで、馬乗り袴を穿いてみました。
能の仕舞いをしていたときのもので、金春縞がお気に入りの袴。
でも、なんか太って見える~~。

お菓子は三周年をイメージして三色団子。
昔は、初午のお参りにも参道の茶店で初午団子が売られてたそうです。
干菓子は伏見稲荷で求めた狐煎餅と手づくりの手綱。
伏見稲荷のお参りの記念の印の杉を一緒に飾りました。

水指と棗を紅白に。蓋置は馬齢です。
いい音がします。退出の時に、鳴らして
帰られる方もたくさんいらっしゃいました。(笑)

お茶碗は神社の神馬と、白狐の銘のある志野茶碗、赤楽など。

2006年1月 月釜

一月の月釜は日程を変更して、日曜日に開催させていただきました。
いつも平日で参加できないわ~とおっしゃっていただいた方にも、いらしていただければと。
年々、お正月らしさも薄らいでいく世間の様、お茶の世界くらいは、しっかり日本の素敵な文化を
伝えてゆきたいものですね。清々しさと華やぎ、お正月のお茶会をお楽しみいただきました。

茶家のお正月の床には、一陽来復を祈って
結び柳を掛けます。清々しい空気が漂います。

香合は今年の干支の戌。
年末のご挨拶に行った伺った折、
師匠からいただいた物です。
赤い釜敷に乗せて、めでたく紅白に。

お正月ですから少し改まって、
寿棚に、松の絵の水指、
棗華やかな色紙蒔絵の大棗を
ご用意しました。

主菓子は新作の練り切り。銘は初春です。

干菓子は、手づくりの松の州と、毎年恒例ですが
開運干支飴を京都から取り寄せました。

今月のサプライズは、ゆめさん。
茶道塾のメンバーゆめさんが、
2席亭主を担当していただきました。
まだお茶をはじめて1年ちょっとですが、
なかなか様になっていますね。

お茶碗はおめでたい、注連縄や鶴、干支の戌などでお正月気分をお楽しみいただきました。

2005年12月 除夜釜

 

除夜の床は、一年の終わりにふさわしく「無事是貴人」手燭のあかりで拝見します。
花の代りに、蝋燭の油煙を吸ってくれるという石菖を置きます。

まづは、今年最後の薄茶を差し上げます。

続いて、年越し蕎麦を。冷めないように小風呂敷に包んで運び出します。

 

お寺に除夜の鐘をつきに、そして神社に初詣をすませて
お客様が戻られる頃には、待合の掛け物も新年のものに変えて、お出迎え。
汲み出しは大福茶です。

新年の床には、おめでたい結び柳とのし飾り。改めて、主客、「あけましておめでとう」のご挨拶から新年の茶事が始まります。

 

半田を持ち出し、昨年の炭を上げ、その中から種火をもらい、初炭手前。
釜の湯は、新年の若水に替え、清々しいお正月の湯を沸かします。

写真の半田は、私の見立て。
琵琶湖のほとりの穴釜で焼かれた鬼が島焼きの大鉢です。
作家は武田 浪。力のある作家です。

炭手前が終ると祝膳をお出しします。
お正月らしく、羽子板に盛り込んだおせち料理の数々

煮物椀は、海老雑煮。

八寸は数の子とちしゃとう。味、食感、彩りを考えたお酒の肴にふさわしいものを用意します。

煮えもうまくついて、美味しい濃茶が
練りあがりました。
このあとは続き薄して、お客様が退室される頃には、ようやくうっすらと夜が明け始めます。

茶事塾では、一足早く、年越しの茶事をしました。
師走31日に本当の除夜釜をしたいのですが
皆さんお忙しくて、なかなかお付き合いくださる方がいらっしゃらないので
茶事塾で稽古茶事として開催しました。

除夜の侘びた風情のお茶、新年の清々しいお茶
年をまたいで違った世界を味わっていただくために、準備はたいへんです。
しかも蝋燭の灯りで行う夜咄の茶事ですから、神経も相当使います。

お陰で、茶事塾終了後、一週間は体がぼろぼろ、ほとんど病人でした。(笑)
たいへんな茶事ですから、される方もほとんどなくなったのが残念で、誰かに伝えておきたくて。
もう少し、茶事塾のメンバーが動けるようになってからと思っておりましたが
待ってたら、私の体力と気力がなくなりそうですので
思い切って開催しました。
皆さん、喜んでくださっったので、やってよかった!

2005年12月 月釜

12月、何かと慌しい時期ですが、めげずに第34回めの月釜を開催しました。
折からの寒波で、来てくださるお客様があるのかと危ぶんでおりましたが、たくさんのお客様がいらしてくださり、
いろいろ趣向に苦労した甲斐がありました。
師走の風物詩を茶会で楽しんでいただく趣向です。

今年も一年、無事にすごせましたという
思いを 込めて、軸は「無事是貴人」。
でも、本当の禅語の意味は
心になにごとも計りごとをせず
無心でいることが尊いということなんですが
12月にこの語を掛けることが多いようですね。

香合は宝船。七福人と数々のお宝が
載ってます。
そう、年末ジャンボ宝くじです。当たるといいね。

花入れの形は蹲。
寒くて思わず蹲ってしまう、そんな季節です。
花は初嵐(白い椿)と黒文字の枝。

主菓子は蒸したての
アツアツ酒まんじゅう。
ねずこの木で作られた蒸篭ごと
蒸しました。

干菓子は四天王寺の釣鐘屋さんの釣鐘煎餅(除夜の鐘)と手づくりの人型の雲平。
白い男の子と赤い女の子。そうです、年末恒例紅白歌合戦。今年はどちらが勝つかしら。


棚は寒雲卓、水指は算盤の玉の形をした唐津です。
師走の寒い町に
算盤片手に掛け取りが忙しく
走り回る、昔の庶民の生活をイメージして。

「木枯らしや」の歌が書かれた先々代の桐山さんの茶碗、清閑寺の十二支、クリスマス、
送り干支の酉、迎え干支の犬などお茶碗で、師走の風物詩を楽しんでいただきました。

薄器の蒔絵は巻物でしたので
忠臣蔵の連判状のつもり、茶杓の銘は「千秋楽」。
南座の顔見せ興行も師走のお楽しみ。
そして、今年もいよいよ千秋楽です。

2005年10月 名残・茶飯釜

初座の床に、香合を飾ります。

風炉が小さいので、灰型、炭手前はたいへん。
茶飯釜では、先に初炭点前をして、
ご飯を席中で炊きます。

後座の床 背負籠に名残の花々を
(木曜コース亭主kさんの花)

お釜に洗い米をサラサラと

火吹き竹で、炭の火力をあげます

美味しく炊けたご飯を手桶に

お汁は金色でとりまわし


主客、心が通う茶事でした
幻の茶事といわれる茶飯釜の茶事。
炉の季節、釣り釜の時節にするのもよいものですが、10月の名残の侘びの茶事にもぴったり。
折から、新米も店頭に並び始めました。新米の炊ける香りを一番のご馳走に、
ままごとみたいな茶事を楽しみました。
懐石は臨機応変。飯台の茶事をアレンジして、四椀重ねてお出ししました。汁椀の蓋が杯に、
飯椀の蓋が向付の器になります。

2005年10月 男の茶道塾 メンバー主催 テーマ:笑っていただきましょう

― 床 ―

軸:掉棒打月
名残の季節の花を背負籠に
香合:瓢箪


― 風炉先屏風 ―
大阪の御堂筋の銀杏(いちょう)をイメージして

ゆめ 作

―主菓子―
ニコニコ上用饅頭+虎饅頭

月釜の前日、メンバーが集まって
準備をしました。

主菓子も明日の出番を待っています。
お客さまにニコニコ笑っていただけるよう
思いを込めて笑顔を描きました。

― 棗・茶杓 ―
馬×9頭で「上手く(うまく)いく」 という判じ物
茶杓の銘:目盛・MEMORY  さと吉 作

第32回の月釜は、男の茶道塾のメンバーで釜をかけることになりました。男の茶道塾をはじめて今月で丁度一年。

茶歴四ヶ月のメンバーも亭主を務めさせていただきました。

テーマは「笑っていただきましょう」

まだ、始めたばかりで点前もおぼつかない面々、お客様の失笑を買うのも覚悟のうえ。

大阪のど真ん中のビジネス街にある峯風庵ですし、大阪といえばやっぱり笑いよね~と言うことで。

折から、阪神タイガースもリーグ優勝、もう、笑いが止まりませんでした~。

―主茶碗―
茶会のテーマ: 茶碗
竹冠の下に犬がいます

2005年9月 夕去りの茶事 重陽の節句

初座   花

炭手前

向付と汁

煮物椀

主菓子―着綿

蝋燭の灯のもと 濃茶

丁度9月9日の重陽の節句前後の茶事塾となりましたので、菊重ねの趣向の茶事にしました。
茶事ではあまり趣向が重なると席が落ち着きませんので、いつもは3つか5つまでに絞り込むのですが
重なることがおめでたいい節句ですし、少しくだけた夕去りの茶事ですので、お許しいただいて。
初座が昼、後座が夜となる茶事で、蝋燭の灯りをつかいます。
夜咄と同様灯りを照り返す塗りのものはなるべく避けたいところですが
今回は御深井の菊の水指をどうしても使いたくて、それによく合う長板での道具組みとなりました。
花入れは、昔お稽古していた秋草蒔絵の鼓を。
私にしては、いつもより少し華やいだお席となりました。

2005年9月 野分


―汲み出し―
菊花を形作ったジャスミンティー

― 床 ―

― 風炉先屏風 ―
野分の過ぎ去った荒野のススキ

主菓子―(市販のもの)
干菓子―吹き寄せ
(野分の風で吹き飛ばされた木々の葉っぱなど)

― 花 ―
瓦けや野の草を

野分という銘のある茶杓が、ご縁があって峯風庵の道具の仲間入りをしました。

清少納言の枕草子の一節が、鮮明に目に浮かびました。

人生には雨の日も風の日も、台風の日もあるけれど、またがんばろうねという「心萬境随転」の語を床に掛けました。

折りしも、当日は昨年に引き続き、大阪にも台風が接近。
アメリカではハリケーンで大きな被害が。

でも、台風が去った翌朝のあのあっけらかんとした青空、何処で雨風を凌いでいたのか
小さな虫や鳥たちが、何事もなかったかのように、空を飛び、さえずりはじめます。

生きるということを考えさせられます。

2005年8月 見立て道具で楽しむ 南の島のお茶会


―待 合―
煙草盆 線香を焚いて

―汲み出し―
ブルキュラソーのソーダ割り

―床―
円相の軸
大海に浮かぶ島に見立てて

南国の花をココナツの花入れに
敷板はバナナの葉を模して
作られた木彫細工


―香合― 海亀


茶友のたきこさんがこの日のために描いてくれた
風炉先の波の絵が効いてます。
椰子の葉を敷いて、中国の金魚鉢を水指に
(新品ですのでご安心を! )

8月は恒例「南の島のお茶会」です。
私の大好きなインドネシアのバリ島の雑器を中心に、本来は茶道具ではないものを茶道具に見立てて使っています。

床に掛けたお軸と茶筅以外は全て見立ての道具。これだけ、目いっぱい見立て道具が使えて、幸せでした~。

見立て道具は、下手に使うと品がなくなったり、席がうるさくなるのですが、我ながら、今回も成功。これだけやったらサプライズでしょ。
あまりの暑さに、風炉釜をはずして、大きなガラス鉢に氷を入れて冷水点にしました。風炉がないと茶席では香が焚けないので、待合ではバリ島のココナッツの香りの線香を。


薄器はアジアンガラスのコップに
バリ島の小物入れの蓋をあわせたもの
茶杓はマドラーです


ハイビスカスティーの赤い色と
淡雪羹の白がきいている
手づくりの主菓子
銘は「情熱の花」
熱帯魚の形をした
ブルーのガラス皿に盛って


ココナッツの容器に入れた干菓子は
ドライマンゴーとコーヒーピーナッツ